質問 色覚タイプをP型・D型・T型等と表現していますが、何故なのか詳しく教えて下さい。

回答 日本では、血液型がA型の人が約4割、O型が3割、B型が2割、AB型が1割います。では、もしO型の人が大多数だったとしたら、O型だけが「血液型正常」で、A型やB型やAB型は「血液型異常」でしょうか? 実際、南米のインディオでは、O型の人が9割を超えます。血液型は人間の多様性の1つであって、どの血液型が正常でどれが異常と呼べるものではありません。

色覚も同じです。C型、P型、D型、T型、A型の色覚型は、血液型と同様に各自が持つ遺伝子のタイプによって決まります。従って血液型と同様に、どの色覚が正常でどれが異常というものではありません。

日本では(世界的でもそうですが)、人数が多いC型を「色覚正常」や「健常」と呼び、人数が少ないC型以外のタイプを色覚「異常」や色覚「障害」と呼び慣わしてきました。これらの色覚は「色盲」として差別され、C型の色覚の人だけを念頭において色分けされた表示が読み取れないことから、多くの職業や学校で「不適性」として排除される歴史がありました。

最先端のゲノム生物学の研究成果では、人間が持つ約3万個の遺伝子はどれも非常に多様なタイプがあり、そのうちの1つを「正常」と呼ぶことはできないというのが定説になりつつあります。当機構はこの流れに従い、従来のように色覚を「正常」と「異常」に線引きして分けるのをやめ、どの色覚も価値判断なく対等に分類するためにC、P、D、T、Aの5種類の名前で呼ぶことを新たに提唱しています(PとDはさらに強と弱に分かれる)。